二子玉川のビストロで、看板娘が人生で初めて飲んだお酒に酔った

看板娘という名の愉悦 Vol.39
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

二子玉川、通称「ニコタマ」。ニコタマダムが優雅に暮らす街というイメージが強い。さらに、1969年に開業した玉川高島屋S・Cは郊外型ショピングセンターの先駆け的存在だ。

本館ファサードの設計は隈研吾氏。

お目当の店に向かう途中で一番好きな車、シトロエン2CV(ドゥーシーヴォー)を見かけた。これは幸先が良い。素晴らしい取材になる気がしたが、結果的にこの予感は当たった。

黄色のボディとは珍しい。

さて、今回訪れたのは「NIJYU-MARU 二子玉川店」。新宿西口にもあるビストロで、他のNIJYU-MARU業態系列店としては国内に37店舗を展開している。

「Oriental Market & Bistro」とある。

期待を胸に入店し、看板娘を探す。

あれ、いない?
予約の電話対応をしていた。

さっそく、オススメのお酒を尋ねると「サングリアはいかがでしょう? 私が人生で初めて飲んだ記念のお酒です」。

こちらですね。

彼女が自ら作って持ってきてくれた。

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「お待たせしました〜」。

麻美さんは上智大学の2年生で、今年の9月でハタチになったばかり。

「やっと来たハタチの誕生日にお店のスタッフがお祝いとしてご馳走してくれたのが、このサングリア。『お酒なのかな?』と疑ったぐらい美味しかったです」。

入学式でのひとコマ。

なお、先のメインカット撮影時は往々にして周囲から冷やかしのヤジが飛ぶ。今回も厨房から「かわいい〜」という女性の声が聞こえた。

「外野うるさい!」と照れる麻美さん。

サングリアの赤・グラス(500円)に合わせるフードも彼女が好きなものにしよう。

「えっ、本当にいいんですか? いつもお客さんから聞かれて、毎回答えるのをちょっと躊躇しちゃいます」。

さて、この中のどれでしょう?

スイーツの「焼きアイスブリュレ」(380円)でした。

ものすごい絵柄になった。

麻美さんは世田谷区内の実家暮らし。玉川高島屋は子供の頃に親とよく来ていたそうだ。

「屋上にちっちゃい遊園地があったんです。当時の二子玉川は、まだ田んぼとかもあって、もっと静かで今とは違うお洒落な雰囲気でしたね」。

趣味は5歳の頃から習っているというピアノだ。

1年前の発表会ではリストの「ラ・カンパネラ」を弾いた。

さらに、愛犬はウエストハイランドホワイトテリアの「チェルシー」ちゃん。

軽井沢の地を駆け回るチェルシー。

え、別荘? 麻美さん、お嬢様でしょう。

「違いますよー。軽井沢は家族旅行で行っただけです」。

スタッフによる看板娘評も聞く。まずは、先ほどヤジを飛ばしたキッチン担当の女性から。

「とにかく、笑顔がかわいくて好きですね」。

「笑顔だけ?」「あ、全部全部」。

続いて、店長の石田さん。

「Mr.ビーンの顔マネがめっちゃ上手いですよ。やってもらいましょうよ」。

頑固なだけにイジりがいがあるのかもしれない。麻美さん、慌てて「できません! ビーンは好きですけど」と否定する。

[nextpage title=”看板娘と漢字検定”]

ここで、ジンライムのオーダーが入った。

「ジンとライム? お酒とお酒でめっちゃ濃くなりません?」。

石田さんが「ライムはお酒じゃないから」とやさしく教える。微笑ましい。ちなみに、お酒デビューしたばかりの看板娘は、漢検の準一級を取るために勉強中だという。好きな漢字は「薔薇」だ。

「あ、これちょっと見てください」と麻美さん。

バーニャカウダ用のフルーツたち。

「この札は私が書きました。漢字の勉強になるかと思って、表は漢字、裏はカタカナです」。

それぞれ何のフルーツでしょう?
正解は「ミニトマト」と「ラディッシュ」。難しい。

「この仕事で楽しいのは、お客さんからお礼を言われたときですね。『ありがとう』の一言だけですごくうれしい。忙しくてオーダーをお待たせしても『大丈夫、ゆっくりでいいよ』とか」。

お客さんの誕生日を祝った記念写真も飾ってあった。

頑固な看板娘が人生で初めて飲んだ記念のサングリアは酔いの回りも速かった。ちなみに、将来の夢は「それがなくて困ってるんですよ。自分のやりたい仕事が見つからなくて」。

今日はありがとう。大丈夫、進路を決めるのはゆっくりでいいよ。では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

メッセージもイラストも“二重丸”。

 

【取材協力】
NIJYU-MARU 二子玉川店
住所:東京都世田谷区玉川3-4-2 ベルフラット玉川1F
電話番号:050-3851-0828
www.nijyumaru.jp/shop/shop1623.html

石原たきび=取材・文
Source: 37.5歳からのファッション&ライフスタイルマガジン|OCEANS
二子玉川のビストロで、看板娘が人生で初めて飲んだお酒に酔った